広東省で見た社会の闇 ひったくりは日常茶飯事
2016/08/29
西暦2005年前後のお話です。
広東省の中でも特に治安が悪い、工業地区に住んでいました。治安は悪かったけど、仕事やプライベートは楽しかったですよ。
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内陸から広東省へ出稼ぎに来たものの、仕事にあぶれて、悪に手を染めてしまった人間がうようよしている環境。スリ・ひったくりは日常茶飯事。私も、気をつけてはいたのですが、ひったくりに遭ってしまいました。
時は夕暮れ、退勤後。
今日こそ、買い物に行かないと、冷蔵庫に食べるものがない、という状況で、スーパーへ買い物に行きました。同僚が、夕方にまた、携帯へ業務連絡を入れると言っていたので、ちょっと焦りながら。
買い物後、右手に食料品が大量に入ったスーパーの袋、左手にトイレットペーパーの袋をぶら下げていました。現金はほぼ使い切り、小銭をポケットに入れていました。スリ防止のために、なるべく財布を持たずに、使うだけの現金を持って、買い物に行く習慣があったのです。スーパーの付近は人混みで、スリが多かったので。
しかし、疲れていたせいか、急いでいたせいか、ひとつ間が抜けていました。携帯電話をストラップに通して、首からぶら下げていたのです。まさか、まだ明るいうちに、人が多いところで、ひったくりはないだろうと油断していましたが、甘かったです。
背後から、若い男が忍び寄ってきて、私の携帯電話を強く引っ張りました。携帯は、ブチッと音を立てて、ストラップから外れ、男の手のもとに。男は走り去り、数メートル先に待機していた仲間バイクの後部座席に乗って、逃亡しました。
わずか、1分間の犯行でした。鮮やかです。私は、声も出せずに唖然としていました。
取られてしまったものは、仕方ないので、一度アパートに帰り、それから会社に行って、電話を借り、上司にことのいきさつを報告しました。取られた携帯電話は、会社の貸与品だったので。そして、警察へ被害届を出しに行きました。
しかし、警察に被害を届けても、「だから何?ふーん。」という態度でした。口には出していませんが、「そんなことくらいで、警察に来ないでね。忙しいんだから。」というような。
翌日、会社へ行って、ひったくりに遭った話をしても、特に中国人の同僚には「私もやられたよ。」とか、「友達がやられたよ」と、みんなの被害自慢が始まり、誰も私に同情してくれませんでした。
日本人の同僚が、知人の被害として話した内容は、ちょっとショッキングでした。香港で働いている日本人女性が、広東省に出張で来たときに、私とまったく同じ手口で、携帯電話をひったくられたそうです。
しかし、彼女の場合、携帯電話をひっぱられたさいに、運悪くストラップから外れず、転倒して、上半身を地面に直撃。鎖骨が折れて入院し、手術をしたということでした。
私は、まだ、運が良かったのだ、と思うしかありませんでした。

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