私の好きな映画 「花木蘭(ファ・ムーラン)」 古代中国の女英雄
2020/01/14
中国広東省に住んでいたころ、香港のTVドラマで、初めて「花木蘭(ファ・ムーラン)」という物語を知りました。
女性でありながら、軍人として戦うムーランが、男性よりも男性らしく、「リボンの騎士」のサファイアや、「ベルサイユの薔薇」のオスカルに相通じる、カッコよさだなあと、毎回ワクワクしてドラマを見ていました。
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しかしこの物語、歴史が古く、千数百年前、中国、北魏時代にさかのぼる女英雄の伝説なのだそうです。
ムーランの物語は、これまで何度も、詩や戯曲、TVドラマや映画になりました。ディズニーの作品にもなりましたね。私が一番好きな作品は、2009年、中国制作、趙薇(ヴィッキー・チャオ)主演の映画です。
というわけで、映画のご紹介。
「花木蘭(ファ・ムーラン」とはどんな物語?
中国の伝説では、こんな物語です。
以降、十数年、女であることを隠しながら、戦友たちとともに敵を倒し、手柄を立てる。十数年後、無事に使命を果たし、帰郷した。皇帝は、ムーランのこれまでの功績を称え、女であることを隠した罪を許し、官職を与えようとする。ムーランはこれを辞退して、故郷に帰り、父母に孝を尽くした。
ムーランの伝説を題材にした作品は、伝説をベースに、ストーリーが大きく変えられているものが多いのですが、趙薇が演じる作品は、伝説に、ほぼ忠実に作られています。
最初、少女漫画風、いつの間にか、本格戦争映画風
趙薇がムーランの役を演じる、と知ったとき、「えー、やだ、絶対合わない。」と思いました。彼女の大きな目と、高い声では、絶対に男には見えないから。
作品の当初では、老いた父親を気遣うけなげな心に感動したり、「いつ女だってバレるんだろう。」とハラハラしたり、「この人とムフフの関係になるのか?」と、少女漫画チックな展開を楽しんで見ていました。
ところが、出世して将軍になると、戦闘シーンが増えて、将軍同士の策略や陰謀があったり、敵方との交渉があったりで、三国志かい?という展開になります。部下もどんどん死んでいくし。
物語に引き込まれて、ムーランが男に見えるか、女に見えるかなんて、どうでもよくなっていきました。
漢族化した民族と、漢族化しない民族の衝突
ムーランは、古代中国の女英雄として語られていますが、北魏という国は、鮮卑族というモンゴル系の少数民族が建てた国なのです。ムーランは、非征服民族である漢族なのに、愛国心で命を懸けようとするところが、最初、不思議に思いました。
でも、ネットで調べたら、鮮卑族は漢族化したとあり、うーん、納得。ムーランにも、鮮卑族の血が流れていたとしても、おかしくない。
そして、北魏に侵攻した柔然という遊牧民族も、モンゴル系なのです。こちらは漢族化しませんでした。また、別の作品では、突厥というトルコ系の民族が侵攻したことになっています。現代でいうところのウィグル族のご先祖でしょうか。
留学生だったころ、知り合いのモンゴル族の青年が言った、「次の世界大戦で、モンゴル族は漢族を征服します。」という言葉を思い出しました。
友人が中国西北部旅行中、ウイグル族の老人から聞いた、「日本人は、南京虐殺のとき、なぜ30万人しか漢族を殺さなかったんだ。もっと殺すべきだった。」という言葉も。
現代にも通じる、中国の複雑な民族事情を思い浮かべながら、映画を見ていました。
恋の成就よりも、国家の安寧ほうが大事ですよねえ
敵を倒すだけでなく、和平を結んで、戦争を終結させようと、力を尽くすところもよかったです。
上官と恋愛関係になりますが、ハッピーエンドに終わりません。ディズニーじゃないから(笑)。この上官、実は。。。という身分で、他の作品にはない新しい設定に、びっくりしました。
物語全体を通して、恋愛よりも、戦友や部下を思いやる心に、泣いてしまうことが多かったです。でも、やっぱり、愛する男性とのお別れのシーンでも泣いたかな。
中国語を勉強している人、中国の歴史が好きな人、女性が男装して活躍する物語が好きな人、恋愛より人類全体への愛が大事だと思う人(笑)は、ぜひ、見てね!
では、では、予告編をどうぞ(字幕が英語版のしか、みつかりませんでしたが)
そのほか、花木蘭をテーマにした作品
日本では、中国制作の実写版映画より、ディズニーアニメのほうがお馴染みですよね。
ディズニーアニメの「ムーラン」が、実写化されると聞きました。今後が楽しみです。
でも、日本で、「ムーラン」はいまいち人気ないんですよね。もとが民族の争いの話なので、ディズニーのハッピーエンドとは合わないって、日本人は気づいているのかな。あ、いや、ムーランの顔が、アジアンビューティというか、いまひとつ日本人受けしない顔だから?
新装版 - 風よ、万里を翔けよ (中公文庫)
文庫: 371ページ
出版社: 中央公論新社; 新装版;改版 (2016/3/18)
田中 芳樹 (著)
Kindle版
出版社: 秋田書店 (2016/10/14)
もとむらえり (著), 田中芳樹 (著)
追記
アマゾンプライムビデオで、『ムーラン』が会員無料配信されているのを見つけました。って、この文章を読んだときに、無料配信が終わっていたら、ごめんなさい。

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