地球に暮らす日々

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母が昨日のことを覚えていない 一過性全健忘症という病態

   


高齢の両親と同居している私は、つねに心の片隅で、「いつか親が認知症になってしまうのでは?」と心配しています。幸いなことに、両親とも、今のところは、まだ大丈夫なようです。

しかし、そんな中、ある日突然、母親が記憶障害を起こしてしまいました。

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同じことを繰り返し言う母

母の趣味は、園芸です。その日も庭仕事をし、お気に入りの蘭の鉢を玄関に運び、嬉しそうに、「ちょっと、見て!蘭からつぼみが出てきてるよ!」と私を呼びました。

私は「ああ、そうねえ。」と、蘭を見たあと、台所へ行こうとすると、母はまた「ちょっと、見て!蘭からつぼみが出てきてるよ!」と言いました。私は「え?今、見たばかりじゃない?」と不審に思いながら、さっきあまり熱心に見なかったのが悪かったのかと、再び蘭のつぼみを確認し、その場を離れました。

しかし、その後も、母の「ちょっと、見て!蘭からつぼみが出てきてるよ!」と言う言葉は、約1分おきに、繰り返されたのです。

最初、からかわれているのかと思いました。父も「いい加減にしないか、くどい。」と怒っているのに、母の繰り返しは、10回ほど続きました。病的なものを感じざるを得ません。最初は、「お母さん、何度も同じことを言うけど、疲れてる?」と笑っていた私も、だんだん笑えなくなってきました。もしかして、認知症が始まった?

その後も、ちょうどお昼ごはんを食べようとしていたころだったのですが、「テーブルの上にある料理は誰が作ったのか」と何度も聞くし(実は母が昨日作った残り物)、「なぜここにシフォンケーキが置いてあるのか」とも何度聞くし(昨日母が買ってきた)、いろいろ話しているうちに、母が昨日の記憶を失くしていることに気づきました。

もう、これは、早く病院に連れて行くしかありません。

地域包括支援センターに問い合わせ

しかし、こういった場合、どこの医者に連れて行っていいかわからないので、迷いました。まずは、かかりつけの医者か?と思いましたが、かかりつけの医者は胃腸科の専門医なので、連れて行っても意味がない気がしました。

とりあえず、ネットで「認知症 相談 秋田」と検索すると、高齢者の認知症の相談は「地域包括支援センター」というところにすればいいとわかったので、そこに電話をすることに。

電話で母の症状を話すと、「そんなに急に、認知症の症状が現れることはないので、なにか脳に障害が起ってしまったのかもしれません。一刻を争うかもしれませんから、かかりつけのお医者さんや総合病院ではなくて、脳研に行ったほうがいいですよ。」と言われてしまいました。

「脳研」とは、秋田県脳血管研究センターの略で、研究部門と診療部門があります。診療部門では、脳卒中を中心とした脳神経疾患などの患者を受けて入れています。なんでも、脳卒中の疑いがある場合は、どれだけ早くここに運び込んだかにより、死亡率および後遺症が残る確率が、変わってくるとか。

うーん、きたか、脳卒中。母方の祖母も、伯父も、叔母も、脳卒中で亡くなっているし。

父に、「これから、お母さんを脳研に連れて行く」と言うと、「そうか、頼む」と答えつつ、その表情はうろたえていました。

秋田県脳血管研究センターでの診察

脳研に事情を電話で説明し、来院する旨を伝えました。しかし、出かけようとしても、母が「診察券」「お金」「お薬手帳」「何を着て行ったらいいのか」について、各5回くらいずつ聞いてくるので、なかなか出かけられませんでした。

脳研での診察はスムーズで、受付、問診カードに記入、身長・体重・血圧測定と進み、診察室に呼ばれました。母だけではなく、私もいっしょに。

医者さんは、私の話を聞くと、「ああ、それは、典型的な良性の健忘症ですね。脳卒中や認知症とは関係ありません。ま、でも、念のために調べることは、調べておきましょう。」と言い、CTスキャンを取ることになりました。

CTスキャンの結果は、異常なしで、診断結果は、「一過性全健忘症」ということでした。なんらかの原因で、脳にある海馬という組織の血流が悪くなり、一時的に記憶がなくなるそうです。

医者は、原因ははっきりとわかっていないが、脱水症状から起こるのではないかと言っていました。その医者の先生の知り合いは、マラソン大会に出場したあと、「一過性全健忘症」になってしまったそうです。

母については、「今のところ、特に治療は必要なく、様子を見ましょう、明日になれば治っているかもしれないし」、ということで、その日は帰りました。

その後の経過

家に帰って、「一過性全健忘症」について、ネットで調べてみると、関連記事がたくさん出てきました。通常、症状は24時間以内に消え、再発の可能性も稀だそうで、安心しました。母にしても、脳研から帰るころには、普通に戻っていました。

翌日、診察してくれた医者から、様子はどうかと電話があり、「もう治りました。」と伝えると、「もう大丈夫だと思いますが、このまま様子を見て、また何かあったら、電話をください。」と言われました。特に変わったところがなければ、もう来院の必要はないそうです。

今回の出来事には、本当にびっくりさせられました。しかし、風邪をひいて鼻がつまることもあれば、声が出なくなることもあるし、正座をして脚がしびれることなど、体の一部が一時的に機能しなくなるのは、普通にあります。

そう考えると、海馬の調子が悪くて、一時的に記憶がなくなるのも、ありなんじゃないかと思いました。

ま、そうなると周囲にいる家族、友人、会社の人などは、慌てるでしょうけどね。案外私も、知らないうちに、「一過性全健忘症」なり、自然に治ったことがあるのかもしれません。






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 - カテゴリー: 美容健康とダイエット