私のリバースカルチャーショック ひさしぶりの秋田 ひさしぶりの日本
2017/02/07
海外で長年、数か国暮らすうちに、自分はなんて、環境に適応しやすく、協調性がある人間なんだろうと思っていました。20年たって、本帰国し、それが大きな勘違いだったことを思い知らされました。
リバースカルチャーショックとは
20代の中ごろに、中国北京に留学したことに始まり、以来、中国南部、香港、シンガポールと、合計20年、海外に住み、去年、本帰国しました。理由は「日本人なんだから、日本に住もうと思ったから」でした。今は、故郷の秋田県に住んでいます。
海外で暮らして5年もたったころ、ある本で「リバースカルチャーショック」という言葉を知りました。「リエントリーショック」とか、逆カルチャーショックともいいます。
海外である程度の期間過ごした人が、母国に帰って、母国の文化にショックを受けるもの、とのことです。その頃、帰国の予定は全くなかったのですが、自分が帰国したときは、どんなふうに、リバースカルチャーショックを受けるのか、ある意味楽しみでした。
海外では、仲のよい友人が何人かでき、そのうち、何人かは帰国していきました。しかし、話を聞くと、帰国後何か月たっても、生活が安定していないようで、半数ぐらいは、再び、日本を離れました。
なんとなく、自分が帰国したときは、すんなり母国日本に馴染めるだろうと思っていました。中国、香港、シンガポールの生活と、自分は適応してきたし、いつもその場で仕事を見つけ、友人を見つけ、忙しくも楽しい毎日を送ってきました。ですので、日本だって同じ、と思っていたのです。
リバースカルチャーショックあれこれ
しかし、帰国後、自分に起こった反応に、驚いてしまいました。「リバースカルチャーショック」というのは、自分にとって言えば、母国に対する違和感と嫌悪感でした。中には、日本の文化ではなく、秋田の文化に対して、起こった拒否感なのかもしれません。
小さなことから列挙すると、
1. スターバックスのメニューがカタカナ
違和感を感じる。どう読んだらいいかわからない。
2.シンガポールから持ってきたIphoneが使えない。
日本で買ったIphoneでも、通信サービス会社を変えると、iphoneも買い直しをしなければならない。
3. 通信サービスのコールセンターの対応がひどすぎて、トラブルが全く解決できない。
それどころか、多額の通話料金がかかってしまった。いわゆる、たらい回しの扱いを受けた。海外にいたころは、トラブルがあっても英語で対応して、解決できたのに。大手通信サービスと聞いているけど、こんな対応しかできないの?利用料金も高いし、国民をバカにしている。
4. テレビコマーシャルの作りが安っぽい。
車のCMを見たら、鼻にストローと突っ込む子供が出てきて、下品で不快になった。私が日本にいたころは、車のCMといえば、ヨーロッパの町を舞台にベートーベンのソナタがバックミュージックで流れていたのに。
5.パック詰めのジュースを飲もうとしたら、ストローから中身があふれて、服を汚した。
そうならないように、パックの角を持たなければならないそうだ。でも、外国から来た人は、そんなのは知らないので、服を汚す人が多いと思う。
6.文房具が使いづらい。
ファイルの閉じ方、修正テープのテープ交換の仕方がやたら複雑で使いにくい。
7. みんなの声の音量が低すぎて、聞き取りづらい。
表情もとぼしいので、何を考えているか不明。
8. 自己紹介は、最低限、名前しか言わない。
自分のことを知ってもらおうといろいろ話すと、どうやら出しゃばりな人だと思われるらしい。
9. 公的機関で働く男性職員が、なんだか偉そう。
自殺率、ガン死亡率、脳卒中死亡率、人口流出率が、ほぼワースト1位の県のお役所で働いているのに、なぜ偉そうにできるのか、不思議。
とまあ、いろいろあるのですが、やはり、日本人の閉鎖性というか、なかなか打ち解けてくれないところに、戸惑っています。
あと、みんな同じ考えを持っているというの思考の前提にあるようで、異なる考えを聞くと怒りだしたり。多分、知らず知らずのうちに、思想統制されている、という印象を持ちました。
友人の一人が言っていましたが、日本は、年功序列で、男女差別で、年齢差別の国だと言っていました。まあ、そうかもしれません。
そういえば、友人の言葉がなるほど、と思える出来事がありました。
時はさかのぼること⒑年前、アラブ首長国連邦のドバイを旅したときです。ショッピングセンターや観光地へ行っても、そこで働いている人たちは、出稼ぎのフィリピン人やロシア人ばかりで、地元の人がいなかったので、つまらなく、地元の人たちが住む下町へ行ってみたのです。時刻は3時ころだったでしょうか。しかし、町を歩いているのは、アラブ服を来たアラブ人男性だけでした。大勢のアラブ服を来た男たちが大勢いるというのは、私にとって、異様な光景でした。女性は家に閉じ込められて、かわいそうだと思いました。
ところが、日本でも同じような経験をしました。一時帰国で、羽田空港に降りると、空港で飛行機を待つ人が、ほぼネズミ色の背広を来たアジア顔のおじさんしかいないのです。
そして、売店に入ってジュースを買って、店を出ようとすると、後ろからひそひそ声で、「ちょっと、あの人、日本人だと思う?」と聞こえてきました。日本という国は、平日に女性が空港をうろつくのは有り得ないと思われるのかと感じました。
なんというか、アラブ首長国連邦と日本とで、「自分はここにいるべきではない」という同じ種類の疎外感を感じました。
日本へ帰ってきて、テレビでやれ英語教育だの、やれ国際化だの聞こえてきて、ちょっと痒くなります。日本に住んでいる限り、99%英語は必要ないし、ネズミ色の背広を来たおじさんの国なんだから、別に国際化しなくてもいいんじゃないのって?
そんなに嫌なら、日本でも秋田でも出ていけば?と言われるかもしれません。
でも、この土地の気候と食べ物が体に合っているし、もしかして今の環境に慣れてリバースショックを克服することが、私の現在の人生における課題なのかなと思えるので、もう少し頑張ろうと思っています。
と言いつつ、この記事書いていたら、途中で具合が悪くなり、横になってしまったんですけど。
本当、自分の国と人々が嫌いになるというのは、苦しいものです。

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